科学をふわっと理解する

科学のキーワードを選び、知識ゼロから1時間で勉強した成果を発表

第1話

仮面ライダービルドに登場する黒板に書かれた科学のキーワードから勉強します。

今回は「第1話:ベストマッチな奴ら」から。

 

 

今回のテーマは...?

量子力学で用いられる「ケナード・ロバートソン不確定性関係」です。

そもそも量子力学は専門外なので、0からの勉強になりましたがまとめます。

 

不確定性関係

そもそも不確定性関係とは何を指しているのでしょうか。

 

量子力学の世界では「ミクロの系(原子や素粒子レベルで考える小さい世界)が持つ全ての物理量を正確に測定することは不可能」であるとされています。

別の視点で考えると、同じ状態の2つのものについて"特徴"(位置とか、重さとか...)を比べても、得られる結果が毎回異なります。いわゆる「再現性がない」ってやつですかね。

 

これを(量子論における)不確定性関係と言います。

 

種類いろいろ

不確定性関係はその複雑さからか数学的にも物理的にも曖昧な定義がされておらず、初期のハイゼンベルクによる不確定性関係からどんどんバリエーションが増えています。

 

とりあえずいくつか紹介しましょう。

 

ハイゼンベルグの不確定性関係

一番初期の不確定性関係ですね。この時点では「小さいものを観測しようとすると得られる結果が毎回異なってしまうので、様々な実験に影響を与えてしまい不確定になる」といったニュアンスでしょうか。

 

ケナードの不等式

ハイゼンベルグ不確定性原理を任意の波動関数まで一般化したものです。といっても難しいので、ハイゼンベルグの不確定性関係との違いを明確化しましょう。

 

◯ ケナードの不等式: 1つの状態の2種類の物理量の標準偏差の積に対する不等式

 

◯ ハイゼンベルグ不確定性原理: 1つの状態において、 ある一方の物理量の測定誤差と他方への影響の積に対する不等式

 

ロバートソンの不等式

こちらはケナードの不等式をさらに一般化したものです。具体的にはロバートソンの不等式における2種類の物理量を<位置>と<運動量>に定めたのがケナードの不等式になります。もっと広いの意味での物理量に対して不等式が成り立つ訳ですね。

 

ここで考えないといけないのは粒子による「ゆらぎ」というものです。ゆらぎは粒子の性質として備わっているものであり、測定に依存しません。つまりここで、

 

(1) 測定による不確定性

(2) 物体のゆらぎによる不確定性

 

の2つを考慮しないといけないことになりました。

 

例として2つの同一なボールを使って考えましょう。

同じ状態にある2つの部屋に対して、まず片方の部屋で1つのボールについてAという物理量を測定し、標準偏差(測定値と平均値の差の2乗平均の平方根)を計算します。

 

次にもう片方の部屋でもう一方のボールについてBという物理量を測定し、標準偏差を計算します。

 

この測定は誤差が存在しない理想的な測定のように思えますが、どんなに調整してもAとBという物理量の値はゆらいでいて、それが標準偏差に反映されます。

 

ここで大事なのは、「たとえAという物理量の標準偏差を0に近づけるように状態を適切に調整しても、Bという物理量の標準偏差を「同時に」0に近づけることはできない」ということです。

 

ケナード・ロバートソンの不等式(不確定性関係)の真の内容は、「1つの状態における2つの物理量のゆらぎを両方同時に閾値より下げることは不可能である」ということです。

 

終わりに

最近では2003年に、名古屋大学の小澤教授による「小澤の不等式」が「ハイゼンベルグの不等式」に変わる不確定性原理として発表されました。こちらは「測定による不確定性」と「物体のゆらぎによる不確定性」を厳密に分けて、測定前によっては2種類の物理量の同時測定が可能であることを示したものです。

 

量子論の枠組みでは常識では考えられないことも起こりそうで、なかなか難しいですね。これ以上深入りはしませんが、気になったら勉強してみてください。

 

第2話でまたお会いしましょう。